熱処理ガイドブック 改訂第5版
定価:¥4,400 (本体¥4000+税)
著者:一般社団法人 日本熱処理技術協会
サイズ:A4
ページ数:274
ISBN:978-4-88661-819-1
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商品内容
 
一般社団法人 日本熱処理技術協会 セミナーテキスト
https://jsht.or.jp/

熱処理ガイドブック 改訂第5版  本書は,鉄鋼材料の冶金的基礎から,一般(バルク)および表面熱処理の基礎と現場技術に至るまで,幅広い熱処理の専門書として数多くの読者に親しまれてきた「熱処理ガイドブック」がベースとなっています.初版が平成14年に発刊され,その後改訂を重ね第4版(平成25年)の発刊からすでに10年が経過しました.この10年で,社会環境や産業界は大きく変貌し学界も著しく進歩しました.それに応じて本書も改訂の必要に迫られてきました.この度,構成はそのままに,細部を見直して大幅な改訂を行い新たな書として刊行することになりました.  主な改訂として,①旧JISを改め新JISに対応した表記としました.②専門用語の表記の統一を図ると共に,最近はあまり使われなくなった古い表現を改めました.また,③図表についても一部更新しました.特に第9章の鋼材の機械的試験については大幅に手を加えました.  鉄鋼材料は,複雑な鉄-炭素系平衡状態図からわかるように,さまざまな熱処理によって多様な顔を見せる極めて特異で魅力あふれる材料と言えます.鋼種すなわち添加成分や添加量が異なれば更に変化します.最近では,自動車の急速な電動化に代表される輸送用機械や建設機械,人の代替と成り得る機能を有する各種高性能ロボットなどの産業機械の主要構成部品の素材として,更なる信頼性向上,小型軽量化や高機能・多機能化が求められています.それらの素材としての鉄鋼材料は,豊富な鉄資源に加え高いリサイクル性,高度にバランスした強度とじん性,そしてコストまで考えれば,その重要性は将来に渡って揺るぐことはないでしょう.この鉄鋼材料を,需要に応じた最適な機能を有する材料として,しかもより低コストで供給できるかどうかは,真に熱処理次第とも言えます.  本書は,そのような背景のもと,近年の社会の要請に応えるため,鋼材の製造法から,各種鋼材特性,熱処理基礎原理,一般熱処理と表面熱処理の実際に使われる設備や実作業,熱処理欠陥と対策,そして鋼材の機械試験に至るまで,周辺技術を含む全方位で詳しく平易に解説しており,現場技術者はもちろん研究開発者にも役立つ内容となっています.姉妹書である「熱処理技術入門 全面改訂」(日本熱処理技術協会 / 日本金属熱処理工業会・編集,大河出版)と共にお読みいただければ,熱処理に関する理解が一層深まることでしょう.  今回の改訂には,新たに以下に記す第一線でご活躍している現役の研究者や技術者にご尽力いただきました.  本書を,企業や組織内の各種セミナーや研修のテキストとして,生産現場の技術改善や品質改善,そして次世代を担う研究者や技術者の育成にご活用いただければ望外の喜びです. [執筆者] 安達 裕司,岩瀬 厚司,川嵜 一博,神田 輝一,田中 浩司,辻 隆治, 南部 紘一郎,松原 周,水越 朋之,山本 卓,渡邊 陽一(五十音順)

目次

1.鋼材の生まれと鋼種の選び方 1・1 鋼材の製造方法 1・2 鋼材の主な発生きずと欠陥 1・3 機械構造用鋼は特殊用途鋼のベース 1・4 機械構造用鋼とその選び方 1・5 工具鋼とその選び方 1・6 ばね鋼とその選び方 1・7 軸受鋼とその選び方 1・8 ステンレス鋼とその選び方 1・9 耐熱鋼とその選び方 2.鋼材の諸特性と熱処理 2・1 物理的性質 2・2 強さとじん性 2・3 疲れ強さ 2・4 耐摩耗性 2・5 耐食性 2.6 耐熱性 2・7 被削性 2・8 冷間加工性 2・9 熱間加工性 2・10 溶接性 3.熱処理を原子の次元で考える 3・1 金属の構造 3・2 合金と固溶体 3・3 拡散と平衡 3・4 二元合金平衡状態図とその見方 3・5 熱処理と平衡状態図 3・6 Fe-C 系に現れる固溶体と化合物 3・7  Fe-C 系平衡状態図 3・8 加熱,冷却変態と組織 3・9 焼入焼戻しと組織 3・10 鋼の熱処理性と合金元素の影響 4.熱処理装置と温度の制御 4・1 加熱装置 4・2 冷却装置 4・3 雰囲気ガスとその発生装置 4・4 温度測定と温度の制御法 5.一般熱処理作業のプロセス 5・1 焼ならし 5・2 焼なまし 5・3 焼入れ 5・4 焼戻し 5・5 サブゼロ処理 5・6 固溶化熱処理 5・7 主な機械部品用鋼の熱処理作業 6.表面熱処理作業 6・1 表面熱処理の種類 6・2 浸炭処理 6・3 浸炭窒化処理 6・4 高周波焼入れと炎焼入れ 6・5 窒化およびその関連処理 6・6 その他の表面熱処理 7.熱処理欠陥と対策 7・1 加熱にともなう欠陥 7・2 焼入れ,焼戻しにともなう欠陥 7・3 高周波焼入れにともなう欠陥 7・4 浸炭硬化にともなう欠陥 7・5 熱処理欠陥が原因と考えられる部品の破損例 8.工具鋼の熱処理 8・1 工具鋼の熱処理は奥深い 8・2 炭素工具鋼の焼入焼戻し 8・3 冷間加工用合金工具鋼の焼入焼戻し 8・4 熱間加工用合金工具鋼の焼入焼戻し 8・5 切削用ハイスの焼入焼戻し 8・6 冷間鍛造用ハイスの焼入焼戻し 8・7 工具鋼の熱処理欠陥 9.鋼材の機械的試験 9・1 硬さ試験 9・2 機械試験